給食パン窒息事故 対処法のアップデート

2024年2月27日追記:

★ 2024年2月26日 福岡県みやま市
給食をのどに詰まらせ小学1年の男児が死亡 ウズラの卵による窒息か

https://www.youtube.com/watch?v=XYE9eNtOlx4

福岡 みやま市 小学校で男子児童が給食詰まらせ死亡

https://www.youtube.com/watch?v=tfDGIRE0ffw

2022年3月20日追記:
・「バイトロック」「開口補助具」というものもあります。「異物除去鉗子」といっしょに教室の先生の机、または給食や食事をする場所に用意することもできると思います

2022年1月1日追記:
のどにモチがつまったときの対処方法(名医のいる相談室)
↑とても具体的に解説されています
【動画】もしも餅がのどに詰まったら 応急処置(NHK)

10月16日 追記:
「やさいぱんおかし」乳幼児にあたえる際 要注意
乳幼児向けの同じパンで窒息事故2件、1人死亡 近く公表へ(朝日デジタル記事)

危険だからなんでも禁止しよう、ではなくて、商品の安全性向上と同時に、じっさいの生活、日常の現場にいる多くの複数のおとなが知って、周囲にいるみんなで気をつけてあげることがだいじ。
時には「口うるさいなあ」と苦情を言われたり「ハイハイわかりました~」という返事をされても、それでもそれを引き受けて言い続けてあげるのが社会にいる地域の大人の責任だと思います。

2021年7月 新潟県佐渡市の小学校で、給食を食べていた小学五年生男子児童がパンをのどにつまらせて窒息し意識不明となり、4日後に亡くなる事故がありました。

再発防止策を考えたいと強く思いました。

提案:新しい対処法も検討を!

「のどにモノが詰まって人が死亡する事故」は毎年起こります。全国どこででも起こります。子供でも大人でも起こります。

いま知られている対処法

意識あれば:
背部叩打法(はいぶこうだほう)
ハイムリック法(腹部突き上げ法、上腹部圧迫法)
 ※妊婦お腹に赤ちゃんいる場合腹部圧迫行わない
・胸部突き上げ法(乳児)
・吸引法
意識なければ:
心肺蘇生法(胸骨圧迫マッサージ、AED、

・ビデオ こども(秋田市公式) 乳児(消費者庁)
 救急救命士(冒頭広告あり動画)
・救急蘇生法「気道異物除去の手順」(日本医師会)
窒息事故から子どもを守る(政府インターネットテレビ)
 ↑大人全員が一度は見てほしいビデオです。自分の子供以外も救えます
子供の窒息事故を防ぐ(政府広報オンライン)
気道異物除去(赤十字)
ナッツ類に注意(消費者庁)
・こども 高齢者 気をつけよう日常生活事故(東京消防庁)
異物の除去(舞鶴市消防本部)
食品による窒息 子どもを守るためにできること(日本小児科学会)
2021/9/9 追記: 救急の日(消費者庁) 

・指交差法による開口 北海道西興部村 異物の除去
・指拭法(ししょくほう) ひたちなか 登米市

・小児総合医療センター呼吸器科医師による丁寧な解説
 気道異物とは
 ↑リンク先の「日本小児呼吸器学会気道異物事故予防ワーキンググループ」参照


「のどにモノが詰まる」を大人がより正しく理解して対処法を考えられるのではないか?
どこに詰まったのか? 参考図
喉頭 こうとう(窒息の危険性あり。気道より浅い場所)
気道 きどう(窒息の危険性あり。)
・食道 しょくどう
詰まり具合は?
・密着して完全に塞いでいる(→異物に穴をあけられるか?)
・穴や隙間があって空気の通り道がある


「喉頭」より浅い場所(喉頭蓋より上、中咽頭、扁桃腺付近)にモノが詰まった場合は、ピンセットや鉗子を使って一般人(バイスタンダー)が取り除いて救命できるのではないか?
 →従来の対処法とどちらがよいか正確な状況判断が必要

それを可能にするための専門家による検証を経て事前知識習得。各教室の教師机の引き出しなどに
・喉頭異物除去ピンセット(先端が安全なもの)
・異物除去に適した鉗子
・先端が鉤状のフック棒(例・5円玉硬貨を取り出す)
・口の中を照らすLEDライト
・口の中に指を入れる際ケガを防ぐ物
・吸引器具(ハンドクリーナー、太いストローなど)
・スマートフォンを拡大鏡画面にできるLED付耳かき製品
用意しておくのは有効ではないか?

 → もちろん事前に十分な専門家の検証・検討が必要です。
 また、新対処法の新たなリスク「かまれて指の切断」「器具をかんで歯が折れる」などを想定し、救助者の指の保護や、対象者の歯の保護も考えた器具設計(例・一部ゴムやシリコンで覆う)
→ さらに、新たな部品がはずれて別の異物にならないように脱落しないカタチに工夫。
 → 器具が目のまえにあり毎日それを見るということは常に「窒息事故」の存在を忘れないで意識できるという副次的効果もあります。

・事前知識習得(教師だけでなく、子供たちにも。遊びでないことをわからせる。複数人で同時に処置に協力すればよりやりやすい。)
従来の対処方法も同時にアップデートしながら訓練、習得もする。(おとなが教室の子供に分担指示同時に動かせるように。119番通報、AED手配、保健室に知らせに、隣の教室か職員室へ大人を呼びに走らせる、など。二人一組のほうがより安全か。
 例えば、緊急時に笛を吹いて知らせる校内ルールをつくり、笛の鳴らし方で遠方にいる者が何を持って駆けつけたらよいかわかるようにしておく、など。
子供だけでいる時おなじことが起きたらどうするかのシミュレーションも学ばせる。家や外で起きた場合も。防犯ブザーを鳴らすなど、スマホを使うなど。→ 子供たちが大人になってからも、学校以外の場所で他者を救命するときにも役立つ)

現在、救急対処法として「異物を取り除く」対処方法があまり具体的に解説されたり周知されていないのはやはりデメリットが存在するからだと思われますが、専門家間によるそのデメリットが何であるかの情報やデータが公知されてもよいと思います。
それによって新たな対処法が考案されたり、役に立つ救命用具が発明されるかもしれません。

「救命」という一刻一秒を争う緊急の現場において「選択肢が多い」というのは混乱や逡巡をまねくマイナス面があることも考えられます。迷っている数秒があったら一回でも多く、背部叩打法やハイムリック法をためしたほうが有効だという場合もありえます。しかし、普通に考えて「詰まったものがのどの浅い部分に大きく存在する(例えば水分を含んだ大きめパンのかたまり)」であれば、「ピンセットで取り出す」「まず呼吸のために穿って空気の通り道をあける」という対処法も十分役に立つと予想されます。

迷って時間をムダにしないように
「対処法チャートを作る。それをおぼえ、実行する」のが有効ではないか?
まず最初に口をひらいてノドをみて、救助者が目で確認できる位置に異物があれば「器具による取り出し除去を試みる」というやり方を検討してみてはどうかと考えます。
もしくは、まったく逆順で、従来の対処法で改善がなかった場合に口をあけて喉頭へのアプローチを試みる、など。

もちろん、それよりまえに「119番通報」と「AEDを持ってきて!」をいちばん最初に指示、実行。

 外科医であれば外科的気道確保「緊急気管切開」という選択肢も考えられます。「気管カニューレ」「ニードル」「気管切開チューブ」といった器具(キット)も存在します。

結論:「もっと命を救うためにできること、準備できること」を考えつづける

「このアイディアが良いから是非導入してほしい」ということではなく、事故が起きて、それがこれまでと同じように減ることなく続いている場合は、真剣にもっと考えられることがあるのではないかということです。
もちろん関係各方面、専門家や関連業界で継続的な努力(研究、会議、改善)が行われているのは理解したうえで、それでもまだなにかできることや、忘れられたり後回しになっている事柄懸案があると思い、あえて意見を述べている次第です。

新しいアイディアを試せば、また別の新しいリスクも発生していくと思います。(例・子供がいたずら心でわざと友達のノドに食べ物をつめて取り出す実験をするなど。それら全部想定して予防策も用意講じていく。)
「不可能、できない」「とてもやりきれない」とあきらめたり、「運がわるかったんだ」で、考えることをやめないで、「もっと命を救うためになにかできるか考え続ける」取り組んでみる。
命を救えるかもしれないメリットがあるのなら、どんな手間もムダとはいえない。私はそう思います。
「儲からないから」が理由で後回しになることなどもないように。

常にその救命処置のリスク・ベネフィットの詳細な評価、検証をつづけて、修正、改善を継続。
情報を広く開示して、一般のたくさんのひとからアイディアを募り「大知」によって新しい解決策が見つかることがあるのではないかと考えています。

そのほか、例えば、動脈を傷つけて出血した場合、
頭部、頸部、脊髄、心臓など繊細な場所でない時で、病院まで距離がある場合の搬送は、止血して、
救急車を待つべきか、学校にある車両で搬送すべきか」は、より個別の地理的環境や状況を勘案してよりよい選択肢がとれるよう事前に検討しておけるかもしれません。
→ 全国一律に対応方法を固定化して決めず、各学校が実際に連携する地元の病院や消防救急や実際の医師と議論した上で対処法を準備しておいたほうが救命確率をあげられるかもしれません。

関連:
学校での応急処置・対応(学校保健)
「学校の危機管理マニュアル作成の手引」の作成について(文部科学省)
 → 「学校の危機管理マニュアル」という言葉でインターネット検索すると、実際に学校で作成されたマニュアルと、各都道府県の教育委員会による「作成の手引」も見つかります。

私個人の意見としては、検討後「本当に緊急のその場の命の救命にかかわる項目」だけは最重要で頭にいれておく知識として抜粋し、なるべく短く薄い覚えやすいハンドブックにして教室などに常備して誰でもいつでも取り出せるカタチにしておくのがよいと思いました。定期的な内容見直しも行う。

JRC蘇生ガイドライン(日本蘇生協議会)

学校保健安全法(法律)

それぞれの病院には「医療安全管理」の委員会やマニュアル(緊急時の対処フローチャート)が存在します。そこから参考にできる内容や、学校であっても、設備や器具によっては導入しておけるものがあるかもしれません。


※ 更新 2024年 2月27日
 更新 2022年 1月1日
 記事初出 2021年 7月16日

ここでは「提案」ということで立派なことを述べていますが、近所の みまもり活動 をしながら毎日 迷ったり、反省することばかりです。
先日も 家の近所で、男子児童3人がフーセンガムを口いっぱいに頬張って歩き、ふざけてはしゃいでそのガムを口のなかから出し入れしながら動いて遊んでいる光景を目撃して「ノドにつまらせて窒息の危険があるのでは…」と心配しながらも、結局、何も声をかけることができませんでした。