2021年7月 福岡県中間市の保育園で、送迎バスから5歳の子が降ろすのを忘れられ閉じ込められる事故がありました。
翌日、東京 荒川区ではスーパー駐車場入り口で4歳くらいの子が大型車両にはねられる事故が起きています。
車からの降ろし忘れ・置き去りはバスでも自家用車でも福祉施設などでもあります。赤ちゃんにも起こります。
駐車場での事故は店舗でも自宅前でも後を絶ちません
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自分たちにできること、今後すこしでも同じような事故を、起こらなくするためできることはなにか、を考えたいと強く思いました。
「自分がやれることは何か」「自分がやるべきことは何か」
事故の間近にいる当事者以外の、まちのなかにいる普通のおとな(他人・第三者)が、すこしづつ気を配って社会全体の安全度をあげることができる
→ 悲しい事故が起きるまえに!
まちのなかには普通に歩いているおとなの人がいます。どこにでもいます。たくさんいます。
車のなかに閉じ込められている子供の泣き声がきこえてきたり、苦しそうな赤い顔を見つけたり、窓をトントンたたいて「たすけて!」という声に気がつくことができれば、こどもの命を救うことができます。ふつうのひとで、だれであってもできます。特殊な技術も資格も道具もお金も必要ありません。
その音、声、がきこえて、動きさえすれば。
スーパーや店舗の駐車場にも、マンションや個人住宅の駐車場前にも、歩いている「普通の人」はいます。
もし小さな子供が「うろちょろ」していて、これは危ないと思ったら声をかけることができます。子供を事故から守ることができます。子供に言ってもいいし、運転手や、ちかくの親や家族に伝えてもいいし、緊急でその必要があるならカラダをつかまえて動きをとめてもいい。車に対して身を挺して大きな身振り手振りで立ちふさがってブレーキ停止させてもいい。
誤解されることがあるかもしれません。「うるさいひとだなあ」とイヤな顔をされるかもしれません。
「余計なおせっかいだ」「なんかウチのやりかたに文句あるのか」と言われたり、「不審者だ、あやしいな」と無視されるかもしれません。
誤解がもとで警察をよばれることがあるかもしれません。
それでも、子供が事故にあうことにくらべたら、まったくそんなことは小さなことで、とるにたらないことではないでしょうか?
社会にいるおとなが引き受けてよい「損」、甘んじて受け容れるべき「損」ではないでしょうか?
「あぶないからこうしたほうがいいよ」と声をかけるとき、「注意する」のでなく「心配する」という気持ちで話すと相手に気持ちが伝わります。実際に同じような場所や状況でこういう事故が起きているから、と説明するとわかってもらえると思います。
相手が子供でも大人でも、急に強い言葉、驚かすような大声で注意したりされたりすれば、それがきっかけで転んで事故が起きたり、口論になったりケンカになったりします。声をかける側の責任も真剣に慎重に考えて、その上でなお積極的に行動する必要があると思います。
ちかごろ町のなかを歩いていて気になるのは
・歩く人、自転車の人の多くが耳栓(イヤホン)をしている
・歩く人がスマホを見ながら歩いている
大勢のおとながいることです。
イヤホンから流れるデジタル音楽も、スマホ画面にうつるデジタル情報も、家にかえってからでもまったく同じモノを見たり聴いたりすることができます。
しかし、町の中できこえたかもしれない「たすけて!」の声はその瞬間その場に居合わせたあなたにしかきこえません。その場で守ってやれたかもしれない子供の姿はスマホ画面を見ていたら見つけてあげられません。
町を歩くときは
・耳栓(イヤホン)をはずす
・スマホ画面を歩きながら見ない
を町にいる大人たちの多くの人たちが実行することで、事故を防いでいける、減らしていけるのではないか、という提案です。
なにか事故や事件が起きたとき、はなれた場所からその間近にいた当事者たちを断片的な情報をもとに論じることよりも、まず、いま、自分のいる場所で、自分にできること、現実的で実効性のある対策は何かを考えて、実行する。
自分たちが生きる現実の日本の社会はすべてつながっています。
「自分は関係ない」という「社会」は存在しないはずです。
・子供は大人のマネをします。子供たちの「歩きスマホ」「ながらスマホ」事故を増やさないためにも、まず大人が歩きスマホをやめる。(通行中の「動線(ひとのながれ)」からちょっと脇によって離れて立ち止まって操作すればよいだけです。自分の身体も他人の身体も安全です。なるべくガードレールや車止めボラード、鉄柱の内側に入って、通行の流れのじゃまにならない空間によけましょう。むずかしいことではありません。)
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2021年7月 東京 板橋区の踏み切りで「警報音が鳴るなかを踏切内に侵入」して電車にはねられる事故が発生しています。原因は「歩きスマホ」と報じられています。近くにいた誰も助けてあげたり気づいて制止してあげることができませんでした。
2013年10月にも同区おなじ沿線で同様の事故が起きています。
・「耳栓イヤホン」「歩きスマホ」は歩行者だけでなく、自転車やバイク、車でも行われます。
これは「改正道路交通法」「安全運転義務違反」や都道府県の条例「例・東京都道路交通規則 第8条」違反によって逮捕されたり罰せられる可能性があります。
2018年5月 東京 大田区 でイヤホンをした自転車の運転が原因で起きた自動車事故に責任が問われました。
2015年6月 千葉県千葉市 でイヤホンをした自転車が歩行者をはねる重大事故がありました。
・耳栓(イヤホン)をしていると緊急車両のサイレンの音が聴こえません。自分の身も危険であり、一刻を争う緊急車両に対しても障害物になってしまいます。
・耳栓(イヤホン)をしていると危険な暴走車両が近づいてきても気づくのが遅れます。
スマホ画面に映るデジタル情報、イヤホンからきこえるデジタル音声は、まったく同じものが家に帰ってからでも視聴できます。雨の日や寝床からうごけない日でも、寝る前にでも楽しめます。
屋外でそのときその場所で聴こえてくる音や声、景色情景は、川のながれのように一期一会で二度とおなじものは一生のなかで体験することができない「かえ」のない貴重なもの・瞬間です。
また、ちいさくても、その場にいる子供同士がたすけあう、たすけあうことができるんだよということを教えていくのも大切だと思います。
学校や公園で
「自分よりも小さい子がいたらたすけてあげるんだよ」
「自分より小さい子をまもってあげるんだよ」
「つよい者は自分よりよわい者をまもってあげる、たすけてあげるんだよ」
たとえば、おともだち同士でも、赤い顔で汗をたくさんかいていたら「熱中症」ということばを思い出して、水を飲むことをすすめたり、先生やおとなに知らせることは子供にもできます。車道にとびだしそうなともだちを「あぶない」と引き留めることも、のどになにか詰まって苦しんでいたり、水の中に落ちたともだちのために大声で「たすけて!」とおとなを呼ぶこともできます。ちいさな子供であっても。
もしも仮に、いまの実社会で、年上の者が年下の者をいじめたり、年上の者がずるいことをして得をして年下の者ばかりが損をする現実があったとしたなら、それならばなおのこと、
「年上の者が年下の者をたすける」
「つよいひとが、自分よりよわいひとをたすける」
ということを、市井に生きる現実の生活者である私たち庶民が、実際の毎日の生活のなかで、教え合い、実践していくのが、これまで以上にたいせつで、重要なことになってくるのではないかと思います。
地域のおとなみんなで子供をまもる
複数のおとなの目で、何重にも補いあって、たすけあって、こどもたちの安全を、よりたしかなものにしていけるはずです。
今日現在も、日本のどこかで、保育園、幼稚園、小学校、養護施設、福祉施設、習い事、の送迎バスで、安全手順・安全対策が十分に手が回りきっていない実際の現場があるかもしれません。
そのときに、だれかを責めたり、だれかに期待するよりも、まず、自分(保護者やバス送迎が行われる地域住民)にできることを自分で実行するのが一番はやい対処法かもしれません。自分自身で乗り降りの人数を数えて確認する。最終バスのなかに居残り、眠っていたり、隠れていたりする者がいないか確認する。バスの乗り降りのとき周囲に立って交通事故が起きないように自分の体でガードレールになってあげる。
他人であっても、第三者であっても、それは実行できることだと思います。
8/8追記:
車内に閉じ込められたときの対処方法として子供に「運転席のクラクション」や「防犯ブザー」を鳴らすことを教えてあげておくことが話題になっています。
→ 緊急時の知識としては以前から言われていたりドラマのワンシーンに出てきたりする情報ですが、わたしもそれを教えておくのは良いと思います。
おとな側や管理責任者がすぐできることとして、車内に防犯ブザーを置いておく(バスなら複数個設置)や、車内で問題発生中を車外に知らせるライトとブザー設置も比較的すぐできる対処だと思います。(運転手が急病になることもあるので。
ついでに述べると、バス走行中に運転手が気絶した場合、乗客がフットブレーキ、排気ブレーキ、サイドブレーキを代わりに操作して停車させることもできます。
現在、日野自動車、いすゞ、三菱ふそう などバス車両メーカーでは乗客が操作できる「非常ブレーキスイッチ」「ドライバー異常時対応システム(EDSS: Emergency Driving Stop System)」を搭載した車両の開発・販売を行ってます。実際に町のなかを走っている新型バスにも導入されています。トラックにも搭載されはじめています。)
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しかし、これらも、まわりの大人たちが耳栓イヤホンをしてスマホ画面を見ていたら、子供たちの危機に気づいて救ってあげることができません。
みんなで、子供たちをまもっていきましょう。