道路であそぶ子供
「良い」「悪い」の話でなく、道路で遊ぶ子供が今すぐゼロになることはありません。
ならば、まず今この場で大人がすぐできること、できるかぎりの行動をしたいと思います。
◆近所の子供を交通事故から守る
道路上で子供が危険に思える状態で遊んでいたら、そのあぶなさを子供にわかるように、伝わるように教えてあげましょう。
突然大声でしかることは絶対にやめましょう。びっくりして振り向いたり、転ぶと事故の原因になります。
スケートボード、キックボード、キャスターボード(ブレイブボード)、自転車、三輪車、一輪車、ペダル有り無しストライダー、インラインスケート、ローラースケート、足けり足こぎ乗用玩具、ホッピング、竹馬、缶馬、今後もっと新しい乗り物も出てきます。
住宅街の道路上で、ちいさな子供がスケートボードに腹ばいに乗って遊んでいて起きた交通事故があります。
ちいさい子供がさらに小さくなったら、自動車の運転座席からはほとんど見えません。
あなたが町を歩いていて、もしそういう子供を見かけたら、ぜひ声をかけて、場合によっては、保護者のかたに声をかけましょう。お説教や注意でなく、実際に起きた交通事故の話をつたえてみてください。
みんな望みはおなじです。子供がケガをしないでいてくれること。威張った言葉づかいや、言い合いやケンカは必要ありません。
歩いているとき、子供達と一緒によこ一列に並んで信号が青に変わるのや、クルマが通り過ぎるのを待っている場面では、なるべく子供よりも前の車道にちかい側に大人が立って「とおせんぼ(ガードブロック)」してあげましょう。
また、子供が突然車道にとびださないように子供の手や体や乗り物をつかんでいましょう。
もしも子供が車道にとびだそうとしたら、よその子、他人の子、だれだろうと関係なく、手や体をつかんで制止しましょう。
もしも、子供に声をかけたり、手をつかんだことで「不審者」と誤解されてなにか言われたり通報されたとしても、子供が交通事故にあわずにすむなら、そんなことはどうでもいいくらい小さなことなはずです。
町のなかで子供があぶないことをしているのを目撃しても、子供と自分のいる場所と距離がはなれていて、とっさにどうするべきか迷う場面があります。
「子供の身体の安全が第一」です。
緊急で危険度が高いと判断したら、子供ではなく、その場の脅威である「自動車の運転手」のほうへ大きな身振りや声で合図して、あぶない状態の子供が近くにいることを知らせてあげましょう。
(見通せないカーブの先に障害物があって、ある車がそのままのコース軌道やスピードで進むとぶつかるというときも、なにか合図で知らせてあげましょう)
緊急の場面ですが、合図する際は、礼儀正しく協力をもとめる態度(会釈したり)だと、問題が起きにくいです。
もし、運悪くこちらの意図が相手に伝わらなくて誤解されたり怒られたとしても、子供が事故にあわなくて済めば、それ以外のことはちいさなことです。
◆クルマを運転するひとへ
子供用のさまざまな乗り物やおもちゃが存在します。子供は遊びの天才です。大人には思いもつかない普通とは違う乗り方や使い方をすることがあります。道路のどこから突然現れるかわかりません。
ひとつ確実な安全対策があります。じぶんがクルマを運転するときに、住宅街に入らず、歩道(車道より一段高くなっていてガードレールがついている)の無い道を走らないことです。
ガードレール付歩道のある大きな道路を走れば、子供も自分も安心です。カーナビのさしずに全部したがう必要はないのです。カーナビが指示したからといってわざわざあぶない細い道に入り込む必要はありません。
自分の知っている大きな安全な道路を主軸にして、自分でコースを決めて走りましょう。
細い道や抜け道を通って短縮されるのは、たったの数分程度です。
それよりも、事故リスクを軽減するルートを選び走るほうが誰にとってもしあわせなはずです。
特に自分自身が一度「ひやり」を体験したことがある道路は避けて、すこし遠回りになっても安全な道をえらびましょう。
住宅街に進入して運転する場合、子供の姿が道路上にみえてもみえなくても、常にブレーキペダルのうえに足をのせて運転しましょう。
ドライバーのなかにはブレーキを踏まないことが運転が上手なあかしのように思い込んでいる人がいますが、すくなくとも住宅街の道路では間違いです。
業者の車がどうしても必要で住宅街を走行する場合は、どうか運転座席からの視界がひろく安全な車両の導入・採用を会社で考えてほしいです。また追加でミラーやカメラやセンサーを車両に搭載することもしてほしいです。(大手宅配業者の車両などはミラーの形や大きさなど、装備に様々な工夫がされています)
トラックには「サイドガード」という巻込防止装置が存在します(最新式はセンサーやカメラ連動)
住宅街やスクールゾーン付近では、両側の窓を全開にすると、子供の気配をより感じ取れます。外からの音や声がきこえやすいように音楽やラジオも消しましょう。
(※走行中とても静かな車種の場合、見通しのきかない細い道では、窓をあけて音楽をかけて存在をまわりに知らせるというやりかたもあります)
三つのミラーを見ましょう。普段以上に頻繁に。
夕方のヘッドライト点灯は忘れやすいです。運転者は自分がまだ見えると考えがちですが、前照灯の目的はまわりの歩行者や車に自分の存在を知らせる目的もあります。特に車体が暗い色の場合は、早めにつけましょう。(ルールでは日の入りから日の出までだが早めにつけてよい。薄暮時間帯 )
ハイビーム(前照灯の上向き)の上手な活用も効果があります。
住宅街の、先の見えないカーブでアクセルを踏むのはたいへん危険な行為です。ブレーキペダルの上に足を置いて慎重に進みましょう。
最近の新しい車は「安全センサー」「カメラモニタ」装備が充実していて、安全運転を自動で手伝ってくれます。
自動車購入を検討するときは「乗るひと」以外の「道路上のひと」の安全性も考えたクルマを選ぶのがよいと思います。
身内のだれかが自動車購入を検討しているとき、そういう情報も知らせてあげましょう。
ただし、センサー類は「補助」でしかありません。センサーが見落とすことも故障することもありえます。かならず自分自身の五感で常に安全の責任を負いましょう。(責任を負えなくなったと感じたら運転免許証の返納を考える時です。)
「道路運送車両の保安基準」という法律があり、しばしば改訂されています。2020年から新車にはオートライト装備が義務化となっています。
排気量の大きい高級車はアクセルをすこし踏み過ぎただけで、ものすごい加速をしたり急発進して事故原因になります。自分の現在の運動能力に合った、日ごろ生活する場所や用途に適したクルマ選びが安全につながります。
また、特に高齢者や小柄な女性は、運転シートの高さ、角度、ハンドルの近さ、高さが、自分のからだにぴったり合っているか再確認と調整をおすすめします。運転時の視界の広さがとても変わります。やりかたがわからない人は自動車の取扱い説明書(だいたい助手席のグローブボックスに入っています)車に詳しい知り合いや自動車販売店・用品店でアドバイスをもらってください。(他人のクルマやレンタカーを運転する時も、手間をおしまずしっかり調整しましょう)正しいドライビングポジション
公園のちかくは、鬼ごっこ、追いかけっこに夢中になった子供が飛び出してくることが多いので要注意です。出入り口ではない場所や、しげみのなかからも飛び出してきます。
車道に隣接したマンション玄関や戸建て玄関、塀で内側がみえない駐車場からの飛び出しにも気をつけましょう。
住宅街では、ゆっくり運転、のろのろ運転こそがあたりまえでカッコイイと思われる世の中の雰囲気醸成を、おとなたちみんなでしていきましょう。
◆カーナビ地図サービス開発者、企業の方へ
子供の安全がなにより一番だいじです。カーナビの経路検索をするサービスやアプリを開発している人、企業への要望があります。
経路決定するときに、デフォルトで「専用歩道のある道路(安全な道路)」を優先選択・案内する仕様にしてほしいと思います。(画一な「道幅」でなく「道路ごとの安全度評価」を優先)
子供にとって危険な道路(細い道というだけでなく住民子供の危険度でスコア化)を案内する時は、明確な注意喚起を常に運転者に促す仕様にしてほしいです。
また、過去に交通事故が発生したポイント(特に注意喚起があれば防げた原因の事故)を通るまえに、音声で注意喚起される仕様を搭載してほしいです。
今後、そういう仕様がカーナビ全般のデファクトスタンダードになることを願っています。
(今後の状況によっては法律による規制やそのような安全仕様の標準装備義務化を要望していくかもしれません。)
将来的には「住宅街のなかでは車は低速以上のスピードが出せない」街づくりが、車両ハードウェアと車載ソフトウェアと信号機・標識通信によって実現するとよいと考えています。(安全なシステム搭載の車は大幅な税と保険料の軽減)
◆提案・小学六年生の助け
小学六年はまだ子供で、なによりまず自分の身の安全をまもること、自転車ではヘルメットをかぶり、暴走したりしないこと、右左よくみて車に注意するなど、自分の交通安全に気をつけることが第一です。
けれど、もし、自分の通学路や、おなじ町内で、自分よりちいさい子、特に小学一年生や幼稚園・保育園の子が道路であぶない状態にあった場合は、ぜひ、声をかけて、まもってあげてほしいと思います。
小学六年生は、活動場所や活動時間帯がおとなよりは、ちいさい子供にちかいです。
あぶないので決して交通誘導員や警察官のマネをしてはいけません。あくまで、自分が登下校や普通に道を歩いているときにちいさい子のあぶない状態が目に入った場合だけ。
(公園の遊具などでもあぶないことをしていたらダメといったり、助けてあげたりしましょう)
六年生の頭では理解できても、まだ小さい子には自動車や自動車が通る道路の本当のおそろしさがわかっていないことがあります。
◆教育・子供を運転座席にすわらせてみる
息子、娘、甥っ子、姪っ子、親戚の子、知り合いの子、身内に子供がいて、自分が車を持っている場合、完全にエンジンが停まっていて安全な状態に駐車しているときに、子供を運転座席に一度座らせてそこから何がどれくらい見えるのか、見えないのか、を体験してもらうのもよいかもしれません。
(クルマの形はいろいろあって見え方が違うことも付け加えて教えて。)
じぶんが道を歩いたり自転車に乗っているとき、車の人からはこれくらい見えていて、でも、このくらい見えていない(死角というものがある)ということを知ってもらいましょう。
おとなでも、油断したり、よそ見したり、失敗することがあることを、一度しっかり体験とまじえて話してあげることで、子供である自分が道路を歩くとき、自動車の大人がいつでも信用できるわけでない、ということをかんがえるきっかけになれば、道路の怖さを真剣に心にとめて緊張感を持つようになると思います。
子供は全員、運転免許証をもっていません。正確な交通ルールについて試験を受けたこともありません。
こまかいことはあとでいいので、日常のなかで、自分自身の身体、自分のいのちをまもるための、もっとも重要な部分を、まず実生活のなかで伝え、身につけてもらいましょう。
町のこどもたちは、みんなのこども
町にいるこどもたちは、町にいるおとなみんなのこどもです。
「よその子だから口だしや手出しはしない」
「じぶんのうちの子だけ安全ならそれでよい」
「じぶんにはこどもがいないから関係ない」
「よけいなトラブルに巻き込まれたら損だから」
交通事故が起きるとき、そこでケガをするのも、させるのも、他人同士です。
交通事故が起きて、ケガ人をたすけてくれるのも、助けられるのも他人同士です。
では、交通事故が起きないよう努力したり行動したりするのはだれの役割か。
ひとりの人間には目が二つ、手は二本しかありません。まえを見ていれば背後にあるものを同時には見られません。
けれど、そこにもうひとり人間がいれば、背後になにか危険が迫っていたら教えてあげることができます。
さらに多くの人がいれば、背後だけでなく、壁や植え込みで見えない曲がり角の向こう側や、死角にあるもの、反対側や高さのちがう場所からみえる危険性を教え合うこともできます。
子供を二人連れたお母さんが、二人の子供を同時に100パーセント見張りつづけることはできません。
でも、町にいるおとながみんなで、集団でたすけあえば、こどもをもっともっと安全にまもっていくことができるのではないでしょうか。
あなたはどういう世の中をのぞみますか?
こどもたちはいつでもおとなの背中をみているし、気持ちを感じ取っていると、私は思います。
追記:
参考 道路交通法第76条4の3(禁止行為)
私個人としては、
こどもの交通事故をゼロにしたいとつよく願っています。
ですが、道路でこどもが遊ぶこと自体をゼロにしたいとは考えていません。実際、一部のスクールゾーンや、商店街の歩行者天国などは車両進入禁止のバリケード看板を道路の両端に設置して、安全な空間を時間帯を区切って実現しています。
また、大きな公園や施設周辺にはプロムナード(遊歩道)とよばれる広い歩行者専用道路が存在します。
じゅうぶんな安全が確保される場所で、保護者が監督しているのならば「道路であそぶことが絶対的な悪」とは言い切れない気がします。ただ、ちいさな子供には、区別がつかなくなってあぶなくなるという意見にもうなずけます。
クルマの運転とおなじように、ルールや安全対策の仕組み・環境づくりを考えるときも、丁寧さと思いやりが必要だと思います。
関連記事: 住宅街の交通安全その②
※更新 2020年 7月6日
記事初出 2020年 6月24日
このページは随時、追記と更新を行っています